眠田直のこんなモノが欲しい!(25)

日本人なら吹き替えで観よ!



 DVDの最大の利点とは何か? 高画質? コンパクトな大きさ? いやいや真の魅力は、洋画の「字幕版」と「吹き替え版」が一枚のディスクに収録されているとこなのである。

 どういうわけだが洋画ファンは字幕至上主義者が多いらしくて、これまで吹き替え版のビデオは割とないがしろにされてきた事を考えると、DVD時代の到来は「吹き替え派」の私にとっては嬉しい限りである。LDは字幕版しか出ない事が多かったしね。二カ国語版もちゃんと出た「ジュラシック・パーク」なんて、メインの三人が富山敬・永井一郎・大塚芳忠なんですぜい。原語版より絶対こっちの方がオススメ!

 それにしても一部のメーカーは、日本語版ビデオのパッケージ裏に、声優名書いてなかったりして許せん。私のように「出演声優」で借りるかどうか決めてる人間にとっては、レンタル店で困ることしかり。一部のDVDソフトメーカーにもこの悪習が引き継がれてるみたいなので、今回の「こんなモノが欲しい」は、「パッケージ裏にはちゃんと声優名を明記せよ!」と声を大にして主張するぞ!!

 あと、吹き替え版はビデオとテレビ放映時で配役が違ってたり、テレビでも放映局ごとにアテレコやり直したりするんで、一本の映画に何バージョンもの日本語版が存在している事が多いのだ。この他に旅客機の機内上映用吹き替えってもあるし。…で「オレ的にベストの配役バージョン」に限って、一度きりしか放映されずに悔しい思いをしたりするので、DVDには「現存するすべての吹き替え版」を多重収録すべしっ! そこまでやってこそのマルチメディア、真の完全版である!!
(個人的には堀内賢雄・大塚芳忠・森川智之版の「三銃士」とかが欲しいのだわ)

 ところで吹き替えの魅力というと、世間ではよく野沢那智ドロンとか、向井真理子モンローとか、小林昭二ウェインについて語られているようだが、そのあたりは私より上の世代の方にお任せすることにして、今の洋画の吹き替えでは、江原正士・山寺宏一・大塚明夫・大塚芳忠・玄田哲章あたりが、演技にも油がのってて聞いてて楽しいでっせ。そういやテレビ東京の「木曜洋画劇場」なんて、ほとんどこの人たちでメインどころのローテーション組まれてる感じですなぁ。
 脇役でも「頼れるおやっさん」の阪脩、「アホウなデブ」を演じさせると天下一品の安西正弘、「イジワルな婆さん」の京田尚子、「クセのあるオヤジ」の稲葉実、「巨漢専門」の郷里大輔などなど、よーく聞いてれば味のある役者をいっぱい発見できるのだ。

 で、吹き替えファンにとって一番楽しいのは、大作や名画よりも「どーしようもないB・C級映画なのに、芸達者な声優さんたちの演技によって観れるものになっちゃったモノ」を深夜ワクとかで発掘した時なのだな。「サイバーロボ」「デス・ストーカー魔界の伝説」なんて本当にくだらないんだけど、声は一級品なんでもう一度観たいぞう。

★てな事書いた直後の10/22に、堀内版の「三銃士」が放映されました。


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