眠田直のこんなモノが欲しい!(34)

にょ



「にょ」。
 ひらがなで書かれたこのマヌケな二文字がスクリーンに写し出された時、場内は大ウケだった。そう「劇場版カードキャプターさくら」の公開時に「デ・ジ・キャラット」のTVスペシャル(映画ではない)の予告編が上映されたのだ。
 既に人気のピークも過ぎ、間延びした映画の中で精彩を欠く木之本桜より、わずか数十秒のフィルムの中の、でじこやぷちこやラビアンローズ達の方がはるかに輝いていた。この瞬間、セーラームーン以降の美少女キャラのトップを走っていたCCさくらが、デ・ジ・キャラットにその王座を明け渡したのだ。

 もともと、ゲームショップ「ゲーマーズ」のマスコットに過ぎなかったのだが、同ショップのCMアニメに登場した事で人気に火が付き、昨年末に1回5分の深夜アニメとしてシリーズ化。…という流れからしても「実力でのし上がってきた」という感が強い。
 さて、このでじこさん。デザイン的には「猫耳にメイド服」という同人誌文化の申し子だし、ゲーマーズの客層的に言ってもオタク層をメインターゲットにしている事は明らか。ところが、最初のCMアニメ版では「萌え」とか「ロリ」とかいう表現がピッタシな感じだったのであるが、桜井弘明監督が手掛けた深夜アニメ版から、微妙にそのベクトルが変わってきた。三頭身になり、ギャグキャラクターとしての側面が強調され、ロリータ要素が控え目になったのである。現時点のでじこの可愛さは「美少女萌え萌えキャラ」というより、むしろピカチュウやキョロちゃんのような「小動物的愛らしさ」の方が強い。
 しかも新作は「夏休みスペシャル・午前中放映」という辺りから見て、このアニメを子供向けにも展開していきたい、という戦略が見受けられる。もし成功すれば、オタク層・幼年層双方にアピールするキャラとして、名実共にCCさくらの後継者となるであろう。

 ここでもう一つ、以前このコラムで紹介した「パワーパフ・ガールズ」。スーパーガールな五歳児三人組が「オネムの前に世界を救う!」というアメリカ製のギャグアニメなのだが、海の向こうでは人気大爆発中らしく、とうとう旅客機にまでペインティングされ、ポケモンジェットならぬパワパフジェットが大空を飛んでる程なのだ。
 日本でもキャラ商品などがワーナーショップ等に入荷しはじめ、個人HPなどでじわじわと浸透が始まっているのだが、私にはこの二作品、国は違えどなんとなく似た「匂い」を感じる。小さな女の子が主人公であること。ギャグであること。論理より「感覚」の世界であること。小動物的な「可愛さ」が魅力のベースになっていること…。

 断言しよう。2001年は「デ・ジ・キャラット」と「パワーパフ・ガールズ」の日米二大プリティ少女アニメの決戦の年になるであろう、と。しかし「2001年宇宙の旅」とか見てた頃には、まさか21世紀が地球規模で「萌え」文化に支配されるなんて夢にも思わなかったねぇ。


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