眠田直のこんなモノが欲しい!(41)

私はこのGWに万博に行ってきた。そして戻った。



 観た観た観た観たぁ? 映画クレヨンしんちゃんの最新作「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」!! 前々々回のこのコラムのカット部分でもチラッと触れたけど、なんと今回は冒頭いきなり、あの一九七○年の日本万国博会場から始まるお話なのだ。

 この万博会場のシーンがまた、コンパニオンのおねいさんから、お客さんのファッション、突如出現したゴモラのような怪獣に破壊されるパビリオン群に至るまで、「もうこれ以上は無い!」というくらいのEXPO'70の再現ぶり。いきなりツボを突かれちゃったよ。
 そう、オトナ帝国とは万博・怪獣映画・アナログレコード・スバル360・夕焼けの商店街といった懐かしさを訴えるアイテムを駆使し、大人たちをその魅力の虜にして洗脳しまうといった恐るべき…、でもきっとフィギュア王読者にとっては嬉しくてたまらないような敵なのだ。
 それにしても「懐かしさ」を武器として使ってくる敵なんておそらく映画・アニメ史上初めてだよねぇ。原恵一監督おそるべし。
 もちろん、主人公・野原しんのすけ達コドモ側は過去に対する「懐かしさ」なんて持ってない。だから自分たちの未来を取り戻すためにオトナ帝国と対決する事になるのだ。うわーー、燃える展開ぃ。
 このように子供の視点から見れば大冒険活劇に。劇場に子供を連れていく親の世代から見ると郷愁と己の生き様とそして「家族」について否応なく考えさせられ、しかも「泣ける!」感動巨編なのだ。

 もうあちこちで「今年最高の映画!」という絶賛の嵐。「どうせガキ向けのアニメでしょ?」なんて言って見逃しちゃった人は一生後悔するといいのだ。ケケ。

 でもなぁ、スタート当初からずっと「クレヨンしんちゃん」を支持し続けてきた私(このコラムの連載第1回のネタも「クレしん」だった)からすると、今回急に大絶賛してる人達の言を聞くと「今さら何言ってやんでぇ」って気持ちもあるんだな。

 クレしん映画は第一作「アクション仮面VSハイグレ魔王」の時から大傑作だったよ。大人だってすごく楽しめる映画なんだよ。
 ヒーロー物に少しでも思い入れのある人間なら第一作の時から感動でうち震えてたハズだよ!

 君たちは雲黒斎の巨大ロボ激闘シーンに熱くならなかったのかい?

 ヘンダーランドの時にトッペマに愛らしさに萌えなかったのか?

 ブタのヒヅメのクライマックスで、あのぶりぶりざえもんが自らを犠牲にするシーンで泣かなかったのかよ〜〜!

 君らは今回ぐらい「オトナにもわかりやすい」ネタにしてもらわないとダメなのかぁ。
 は、いかんいかん。せっかくの「オトナ帝国」好評ムードに水を差すのもな。そういうわけで今回の「こんなモノ欲しい」はとっととクレしん映画のDVDを出して下さいバンダイビジュアルさん。これでやっと馬鹿な大人にも売れます。


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