眠田直のこんなモノが欲しい!(42)

おさとう、スパイス、あと不審なモノいっぱい。



 既にこの連載で何回か取り上げているけど、今一番「旬」なアニメはやっぱしコレ!だと思うので、今回のお題も「パワーパフガールズ」で行くよん。
 日本での放映も半年を過ぎ、話数的にも第二、第三シーズンの脂ののったオイシイ辺りに入ってきたので、見ないと損だよ。

 たとえば第13話「巨大ロボ!ダイナモ登場」の回。リトルトーキョーを模した日本人街に突如現れた巨大怪獣。ガールズ側はそれに対抗すべく、戦闘ロボ・ダイナモを出撃させるというこのお話。ロボの発進シーンはマジンガーZ調だし、シャキーンと決めポーズは取るし、キモのアクションはなぜか三回リピート。おまけにミサイルの航跡やら爆発の描き込みやら、アチラのスタッフが熱心に日本製のアニメや特撮番組を研究してるのがよくわかりますな。
 さらに別に意味でスゴイのが16話Bパート「ねらわれた三人」。パワパフグッズコレクターのオタク青年・レニーが、グッズ集めに飽き足らず、ガールズの私物を盗み出すストーカーへと変貌。ついにはガールズそのものを拉致監禁するという凄まじい内容。そしてガールズを取り戻すべく、ユートニウム博士の取った戦術がなんと「レニーのコレクション部屋に子供を乱入させる」という、フィギュア王読者の弱点を突きまくるイタタな方法。もちろん、情容赦なく子供たちが未開封トイを開けまくる音に、コレクター・レニー君は惨敗します。ヒ、ヒドい(笑)。

 こういう変化球エピソードだけでなく、本来のスーパーヒロインものとしても、普段は強気なバターカップが、ライナスのように安心毛布が無いとダメダメになってしまう事が露見する「勇気のおまじない」。頭を打ったバブルスが、自分の事を宿敵モジョと思いこみ、その悪役ぶりがミョーに可愛い「モジョはバブルス!?」。自慢のサラサラヘアーをザックリ切られてしまったブロッサム、かわいそうなんだけどハゲ頭姿が爆笑モノの「笑っちゃイヤ!」など、もー傑作続出。

 さて前述のダイナモの回とか、セーラームーン的なスーパーヒロインって事で「日本アニメの影響」が語られがちなパワパフですが、実は一番日本的なのは「間の取り方」みたいな小技部分ではないかと思うっす。カートゥーンネットワークの同系列作品「デクスターズラボ」や「カウ&チキン」が、マシンガンギャグの連射という力押しの演出なのに対して、パワパフは「クレヨンしんちゃん」「ちびまる子ちゃん」風に「間」で笑いを取ってる箇所が多いのだよね。あと徹底的にシニカルでドライなカウチキなんかに比べると、24話Aパート「ガールズの妹」のように「泣かせ」が入ったりするんですな。アメリカンアニメでこんなにウェットなのも珍しい…。

 あ、もう行数が無い。とりあえず今回の「こんなモノ欲しい」はパワパフのオフィシャルマガジン「パワージン(洋書)」の翻訳出版きぼ〜んってコトで。
(つづく)

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