眠田直のこんなモノが欲しい!(69)

愛と憎しみのディズニーチャンネル



 ディズニーのアニメを見ると、いつもオレは複雑な気分になる。

 そりゃね、ここの作品ってのは技術的には素晴らしいですよ。作画は上手いし、演出は洗練されてるし、音楽も最高。エンターティメントとしては一級品。でもお話は毎回奇麗事。ギャグはヌルいし、毒やエロは完全に除去されててお上品。まぁ一般ピープルにとっては安心ブランドなワケですが、やっぱ物足りないよなぁ。
 さて、昨年11月18日「ディズニーチャンネル」が開局した。またこの11月18日ってのがミッキーマウスの誕生日、そして開局最初の放映プログラムが「蒸気船ウイリー」ってのが流石。センスいいよねぇ。でもあざとい。
 このディズニーチャンネルのラインナップの中で、事前に一番期待していたのが「キム・ポッシブル」!
 女子高生でチアリーダーのキムは、頭脳優秀、運動神経抜群のスーパーガール。悪の科学者ドラッケンの野望を阻止するため、今日も世界を駆け巡る! おお、ディズニーもついに美少女モノに進出か。やってくれるじゃん。初放映は19日朝5時半からだったけど、ちゃんと観ましたよオレ。
 …感想。うう、脚本も作画も演出も上手いんだけど「ディズニーフィルター」でろ過されすぎだよ〜。すげー健全。キムは美少女で、常にヘソ出しルックだってのに、見事に色気とか萌えとか排除されてるの。
 もうね、完全に戦略商品。ディズニーがいかに日本製アニメとか、直接のライバルであるカートゥーン・ネットワークの「バットマン」や「パワーパフガールズ」を研究・分析して、対抗意識燃やしてんのが透けて見えてます。「マーケティング」とかほざく連中が後ろにいるんだろうなぁ。お前ら、戦うヒロインものやるんならもっと魂込めろー!

 結局、ココで面白いのはジム・ヘンソンの「恐竜家族」だけだね。ほら、昔NHKで放映されてたカルトな特撮コメディ。でも「にぎやかな一家、恐竜家族♪」って番宣コピー、それ何か違うだろ。おまけにこの原稿を書いてる12月中旬の時点では、まだ放映一巡してないので断言できないが、過激なエピソードが抜かれてる気がするぞー。姥捨ての日に、祖母のエセルをタールの沼に投げ込みに行く「パパはおばあちゃんが苦手」の回、ちゃんとやれよな。あと、ディズニーランド自体を徹底的に風刺した「楽しいバケーション」や、著作権管理に異常にこだわるキャラクターがテレビを使って子供の洗脳を目論む「ぬいぐるみの正体は?!」あたりをスキップしやがったら、ディズチャンはチキン決定だっ!

 まぁ大ディズニー様はこんなコラムなんぞ馬耳東風だろうが「こんなモノ欲しい」的には「美女と野獣」みたいな、どこのレンタルビデオ屋でも観れるような作品はいいから、「イカボードとトード氏」とか「ラテンアメリカの旅」(小さな郵便飛行機ペドロが見たいのじゃ)とか、あと「青い自動車」と「小さな家」放映してくれよな。頼むぜ!


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