眠田直のこんなモノが欲しい!(72)

荒野とか宇宙とか黄金とか野生とかの七人



「荒野の七人」こそ、マイ・フェイバリット映画である。

 いや、正確に言うとちょっと違うな。別にそんなに西部劇好きってワケでもないし。西部劇が好きだったのはむしろ私の親父でして、私の幼少期の70年代にですな、当時はまだホームビデオなんてもんが普及してなかったので、テレビ放映される西部劇の「音」だけをカセットテープに録音して、これを休日とかに何度も繰り返し聞いておったのですよ。それでまぁ「門前の小僧習わぬ経を読む」という具合で、私の脳みそにも「荒野の七人」のセリフがすっかりインプリンティングされちゃったワケですな。

 もうね、染み付いちゃってるからね。ついつい出てきちゃうんだよね。この間某ゲームの仕事でシナリオ手伝ったんですけど、盗賊の口調とかどうしても「荒野の七人」のカルベラになっちゃうんだわ。だって味のあるセリフが多いんだもん。略奪の対象になる農民たちの事を「羊には羊の役目がある。だから神様がお造りになったんだぞ」とうそぶいてみたり、七人の正義のガンマンを見て「仏心かぁ。そいつがオレの悪いクセだ。食い扶持残してやったばかりにこんな悪党ども雇いやがって」とか、自分の事を棚は上げて言い放つ悪党っぷりがたまりません。くーーーっ。

 ああ今回は「荒野の七人」観てない人には全然判らない原稿ですいません。DVD出てますんで、未見の人はぜひ日本語音声で観て下さい。ちゃんとユル・ブリンナーに小林修、チャールズ・ブロンソンは大塚周夫、ジェームズ・コバーン小林清志、ロバート・ボーン矢島正明といった、定番の声を使った日本語版ですから。これ、70〜80年代くらいにTV用に吹き替えられた音源に、カットシーン分を後で追加収録してると思われます。DVD担当者の丁寧な仕事っぷりに感謝感激。
 …とか言いつつも、実は今回の「こんなモノが欲しい」は「オレが本当に欲しいのは、カルベラ=穂積隆信バージョンじゃないんだよ〜」という贅沢な悩み。子供の頃に散々聞いたテープが、1時間半ワクの土曜映画劇場で前編・後編に分けてやった時の吹き替えなんだよねー。この時はカルベラの声、もっと野太くていかにも「山賊」って感じだったんだよう。あーー、誰かこのバージョンの録音テープ持ってない? 貸してっ!

 さてこんな「荒野の七人」漬けの私にガツンと来たのが今年のクレしん映画「夕陽のカスカベボーイズ」! 水島監督の事だから渋〜くマカロニウェスタン路線で攻めてくるのかなー、とか思ってたら、なんと王道の「荒野の七人」ネタを! それもクライマックスでしんちゃん達を七人で加勢に来るんだよぉ。その上、映画的にはチョイ役なのに声優はクリス・小林修、オライリー・大塚周夫、ヴィン・内海賢二、ブリット・小林清志(悪ボスと二役)という贅沢さ! リー、チコ、ハリーはすぐやられちゃうのでセリフ無しなのはご愛嬌。「オトナ帝国」じゃないけど「懐かしさ」を直撃されちゃ陥落です。観ろ観ろ。


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