眠田直のこんなモノが欲しい!(79)

人生に大事な事はすべてボブ・サップが教えてくれる



 遅ればせながら映画「デビルマン」を観てきましたよ。散々酷評を聞かされた後だったので、別の意味で期待しながら劇場に行ったんですが、これが評判以上の大駄作でした。

 まずシレーヌ、ポスターと違うやん。単なる鶏のコスプレしたおねーちゃんやん。しかもやたらに周りに羽根散らかすのはどうしたものか。カウ&チキンじゃないんだから。おまけにシレーヌ、デビルマンと決着付けないまま映画途中からまったく出てこないの!登場時間正味5分。

 ジンメンもよくわかんねー。ミドリガメ食ってみせて子供おどかしてるだけで、実際に人間を食べるシーンは無いし。デビルマンのパンチ一発で死ぬしぃ〜。その上死に際に「デーモン同士は殺しあわないハズだ」とかボケるの。そう、この映画では原作と違って「デーモン、弱い」って設定なのよ。だから銃で撃たれただけでバンバン死ぬ。小錦なんて「デーモン、万歳!」って叫びながら撃たれて死ぬだけの役だし。ヒドい扱い。
 で、デーモン弱っちいからデビルマンが戦う意味がほとんど無いんだよな。「俺は美樹を守るために戦う」って言ってるけど、一度も美樹、デーモンに襲われてないし。だから不動明も状況に翻弄されて右往左往してるだけ。こんなデーモン騒動程度で、なんで人類滅亡の大破局に繋がるのかさっぱりわからん。あ、この映画は主に学園・牧村家とその近所・亀戸のショッピングモールだけで話が進んで行きます。ものすごくスケールの小さいハルマゲドン。
「日本をデーモン国家と認定し、各国がミサイル攻撃を始めました」「戦争が起きました」等々、大局的な事はすべてボブ・サップ演じるアナウンサーがニュースで説明してくれます。この世界では、人生に大事な事はすべてボブ・サップが教えてくれるに違いない。
 だいたい、ボブ・サップ呼んどいてニュースキャスターを演じさせようなんて発想、普通出てこないよ。この映画、キャステイングも演技も演出も脚本のナニモカも狂ってる。観客は二時間の間、このフシギなデビルマン世界に引き込まれるわけで、バカ映画に免疫の無い人は吐いたり拒否反応が出るらしいので気を付けてください。

 さて「こんなモノが欲しい」的には、この映画のDVDのオーディオコメンタリーは是非、意地悪な観客代表による「大ツッコミ大会」にしてほしい。「ほら、ここで『ほあーん』ですよ」とかね。そーすればこの惨劇のような映画が百倍楽しめる事うけあい。

 さらに映画自体はつまらないんだけど、この映画について書かれた文章はどれもこれも面白い! なんか映画の批評というより、みんな「スゴいモノを見せられた」体験談になってるのよ。ブログの感想とか、2ちゃんねるのスレッドとか我を忘れて読みふけってしまったよ。これは新しい映画の楽しみ方だね。
 次はレンタルビデオリリース時に再び惨劇が繰り返されると思うので、劇場で見逃したキミもその時は是非「祭り」に参加してくれ。じゃ!


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