眠田直のコレにハマった(17)

プロジェクト・グリズリー



 数年前に日本テレビの「世界まる見え!テレビ特捜部」や、スペシャル「世界絶叫映像もろ見え超びっくり人間大集結」で紹介され、視聴者を爆笑の渦に叩きこんだ、あの「プロジェクト・グリズリー」が、この9月にアルバトロスよりついにDVD化されました。もちろん速攻で購入したよ!

 さて「プロジェクト・グリズリー」とは何か? それはカナダのオンタリオ州でスクラップ業を営むトロイ・J・ハートビス氏が、かつて山中で野生のグリズリーに遭遇し、絶対絶命の大ピンチに陥ったが、なぜか熊は彼を襲う事なく無傷で帰還できた。九死に一生を得たトロイは「なぜ自分が助かったのか?」という答えを探るため、もう一度グリズリーとコンタクトしようと考える。だがグリズリーと直接触れ合うには、人間の身体はあまりに非力すぎる。そこから導かれた結論は一つ。

「熊の力に対抗できる防護スーツを作るしかない!」

 こうしてトロイの対熊スーツ製作と、その耐久性を確かめる為の、過酷な実験の日々がスタートする。製作されたプロトタイプの対熊スーツは、見た目はザクやプロテクトギアにそっくり。これをバットで殴りまくったり、高さ数十メートルの崖から落としたり、燃えさかる炎の中を歩いたり、はては車で轢いたり、アーチェリーの矢で射抜いたり、銃で撃ったり、12メートルの高さから振り落とした150キロの丸太をブチ当てたり、かなり無茶な事をやりまくります。いや、この実験シーンの映像が本当に凄いんだ。
 そしてプロトタイプの実験データを基に、7年の月日と150万ドルの大金をかけ、ついに完成した究極の対熊スーツ「マークY号」。その構造はゴム→チタン→鎖かたびら→チタン→エアバッグと五重装甲。これならたとえ熊に襲われても、中の人間は傷一つ付かないだろう。

 ヘリコプターでマークY号を空輸し(このシーンがカッコイイ)、支持者たちと共に、グリズリーの住むロッキー山脈に意気揚揚と乗り込むトロイたち。
 だがしかーし、思わぬところに落とし穴があった。重装甲のマークY号は、平地はともかく山の斜面を登る事ができない。一度倒れると自力で起き上がる事は不可能。それにトロイ自身も閉所恐怖症のケがあって、長時間スーツを装着できない。事態は極めてマヌケな方向に〜。
 さらに追い討ちをかけるように天候も悪化し、吹雪となり、トロイたちは150万ドルかけたマーク6号を山頂に投棄する結果に。その帰り道、やっとお目当てのグリズリーに出会えるのだが、仕方なく遠くから観察してるだけ。なんだこの萎えるようなオチは!

 それでもめげる事なく、トロイは対熊スーツZ号を製作しているとか。このドキュメンタリー映画が作られたのが1996年なので、カナダでは新しい事態が展開していると思われる。マークZ号の活躍に期待したい。


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