あなたの町のパラダイスも載ってる!? 観光迷所がどっさりのガイドブック

全国お宝スポット魔境めぐり

別冊宝島 宝島社 857円

 トンデモはいつも本の中におとなしく収まってくれているとは限らない。時には立体物として、はたまた現実の巨大な建造物として、あなたの住む平和な町に突如姿を現すかもしれないのだ。
 「全国お宝スポット魔境めぐり!」は、日本全国津々浦々の国際秘宝館・怪しい博物館・珍奇な神社仏閣・変なテーマパークといったキッチュな観光迷所ばかりを集めたガイドブックだ。惹句は「フツーに飽きたカップルに捧げる世紀末デートマニュアル」となっているが、あまりこういう場所には彼女とかを連れていかない方がいいと思うぞ。
 さてトンデモ的にわかりやすいのは、鹿児島の「ムー大陸博物館」や青森の「イエス・キリストの墓」などだが、味のあるのは勘違いした未来感で作られた、電子頭脳・ダメ人間抹殺装置・両性具有の超人間のマネキンといったトホホな展示物で一杯の「鳥羽SF未来館」(しかもエロ)や、設立者の個性&情念が爆発しすぎて常人には理解不能となった「神秘珍々ニコニコ園」「平和日本お誕生お御所」などであろう。
 ちなみにこの手の物に最初に注目したのは、関西の人気テレビ番組「探偵!ナイトスクープ」あたりだったと思う。「ナイト〜」ではレポーター桂小枝が最初に訪れた「淡路島ナゾのパラダイス・立川水仙郷」の名を取って「パラダイス物件」と呼んでいる。ここは寂れたビルに秘宝館的な性風俗展示と館長の手書きの解説、プラス猿しかいない動物園やら壊れた遊具やら健康茶サービスとかが脈略無く並んでいて、ウラ物件の情けなさ・ワビサビ・失笑感といったものをすべて押さえた「基本」みたいなところだ。
 なにはともあれ、今まで雑誌やテレビでチラホラ紹介されるだけだった「パラダイス」が、こうして一冊の本にまとまった事はめでたい。ただ不満もある。魔境スポットは何よりもビジュアル的なインパクトが物を言うので、白黒写真のみではちと寂しい。別宝形式ではなくて、ぜひともカラー写真をふんだんに使ったムック本で出してほしかったなぁ。
 というわけで次は「四国の違法増築マンション」なんかも収録した第二弾を期待する。国道沿いのドライブイン横や、温泉街の奥、あるいは住宅地のど真ん中にも、知られざる「パラダイス」がまだまだたくさん残っているハズだ!


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