○宇宙
Ｎ「復活したオルドビス帝国の前線基地。ここで、シルル女王は偵察隊からのスターピンキーＱ発見の報告を待っていた」
シルル「偵察機が無人で帰ってきたですって？ デボン参謀」
デボン「はぁ、自動帰還装置が作動したみたいッスね」
シルル「よし、この機の記録データを至急解析しろ！」
帝国兵Ｃ「はっ！」
ＳＥ：コンピューター作動音
Ｎ「オルドビス軍のマスターコンピューターは、偵察機が持ち帰ったデータを瞬時に分析した。その結果、シルル女王はスターピンキーＱが地球に潜伏している事を知ったのである！」
シルル「第８２恒星系・第３惑星『地球』か…。ふんふん、人口５６億、惑星同盟には未加入…。え、文化レベルはたった０・３？」
デボン「こりゃまたド田舎の星ッスねー」
シルル「フン。こんな所に隠れたってムダよ、スターピンキーＱ！」
シルル「よーし、直ちに全艦隊発進！ 目標、『地球』！」
ＳＥ：円盤発進音（多数）
Ｎ「かくて、オルドビス艦隊は地球へと進撃を開始した。危うし、地球！」
○オープニング
主題歌流れる。
○サブタイトル
はるか「第２話・ロボット怪獣襲来、東京大パニック！」
○はるかの家
マリオン「…と、いうわけで近い内にオルドビス軍はこの星にもやって来る事でしょう」
タルト「その時はおねーさまの出番よね」
はるか「ちょっと待って。なんで、私が戦わなきゃいけないのぉ？」
タルト「だって、おねーさまは宇宙の勇者・スターピンキーＱなんですよぉ」
はるか「そんな事言われても。うーーん、実感わかないなー」
マリオン「キャプテン、今後の戦いに備えて強化服のメンテナンスをしておきました。いつでも装着可能です」
はるか「えっ、強化服って何？」
マリオン「Ｄ・３３５型改・特注バージョン。通称『ピンキースーツ』。あらゆる攻撃のショックを吸収し、その上耐熱耐寒耐真空、まさに宇宙科学の結晶とも言える強化服です」
はるか「…と言うと、えすえふアニメに出てくるパワードスーツみたいなモン？ あんまし興味無いなあ、そういうの」
タルト「ま、おねーさま、そう言わずに…」
マリオン「装着は簡単ですから」
ＳＥ：カチャ！ カチャ！（スーツ装着音）
はるか「…ちょっ、ちょっとぉ。止めてよ」
はるか「あれ？ なんだか思ったより小さいのね」
ＳＥ：パシーン！（スーツ装着完了音）
はるか「…なっ！ なにコレ、おヘソまるだしじゃない！ その上もろハイレグ」
Ｎ「強化服は予想に反し、露出度の高い、ほとんど水着の様な服であった。そのデザインは、激しく星野はるかの羞恥心を刺激した！」
マリオン「はい、高度な防御能力を備え、なおかつ極めて軽量なのがこのピンキースーツの素晴らしいところです」
ＳＥ：ガサガサ（服を着替える音）
マリオン「どうしました？ キャプテン」
はるか「こんな恥ずかしい服、着れないわよっ！」
タルト「あれぇ？ 昔は喜んで着てたのにねぇ。あたしのだいなまいつ・ぼでーのミリョクを一番引き出すのはこの服よぉおお、とか言ってたクセにぃ」
はるか「…む、昔のあたしって、いったいどういう性格してたのかしら？」
タルト「そりゃーーーーーーーもう」
マリオン「ま、何と言いますか、その……」
タルト「ねっ！」
はるか「う……………。とにかく、『宇宙の勇者』なんてのは絶対やんないからね」
タルト「そんなぁ〜」
マリオン「そうですか？ 残念です。ピンキーボードの整備も完了したのに…」
はるか「え、なにそれ？」
マリオン「はい、今お見せしますので、庭に出て下さい」
○外
ＳＥ：ボード浮遊音
マリオン「これがピンキーボード。反重力装置で空中を自在に飛行する事ができます」
はるか「空を飛べるの？ それは面白そうね。よし！」
ＳＥ：スタッ！（はるかがボードに乗る音）
はるか「ほっ、ほっ、おっとっとっ」
マリオン「バランスにクセがあるので、乗りこなすのは難しいのですが…」
マリオン「この装置をお使い下さい」
ＳＥ：パチッ！（装着音）
はるか「なにこれ？」
マリオン「ピンキーアイです。これがあればずっとバランスが取りやすくなります」
はるか「あっ、確かに安定した。便利ねコレ」
マリオン「それだけでなく、通信機能やレーダー機能も兼ね備え…」
はるか「よーし、行っけぇ！」
ＳＥ：ビューーーン！（ピンキーボード飛行音）
はるか「マリオンＲ、少しコレで遊ばせてねー！」
マリオン「あ、キャプテン、説明がまだ……」
○空
はるか「あはっ、いい！ 最高ぅ！」
ＳＥ：キィーーーーーーン（ピンキーボード飛行音）
はるか「んーーんんん。空を飛ぶのが、こんなに気持ちイイなんて…」
ＳＥ：円盤浮遊音
はるか「あれ？ あそこに見えるの、昨日のＵＦＯじゃない」
ＳＥ：円盤浮遊音多数
はるか「げげっ！ 凄い数！」
Ｎ「オルドビス軍団の宇宙艦隊だ！」
○円盤内
帝国兵Ｃ「サイコセンサーに反応、右前方、距離６２０…。ああっ、あれは！」
帝国兵Ｃ「陛下、スターピンキーＱを発見しました！ モニターに出します！」
ＳＥ：ビュイーン！（モニターＯＮ音）
シルル「ついてるわ！ こんなに簡単に見つけられるなんて！ 全艦ミサイル発射！」
ＳＥ：ミサイル発射音多数
はるかの声（モニター内）「うわうわうわ、なによーーーっ！」
ＳＥ：爆発音多数
帝国兵Ｃ「全弾命中！」
ＳＥ：ピューーーン（落下音）
帝国兵Ｃ「目標、落下して行きます！ やりましたね、女王陛下」
シルル「喜ぶのはまだ早いわ。スターピンキーＱがあれくらいの攻撃でくだばるもんですか」
シルル「デボン参謀、メガモンスの用意！ この私がじきじきにとどめを刺してやる！」
デボン「へーーい」
Ｎ「メガモンスとは、惑星制圧に用いられる巨大ロボット兵器の事である」
デボン「んじゃ陛下、行くッスよー。メガモンス・ゴッドクラバー、発進！ …っと」
ＳＥ：ギエエエエエエン（ゴッドクラバーの鳴き声）
ＳＥ：ゴッドクラバー発進音
○町
タルト「おねーさま、おねーさま、しっかりして下さい」
はるか「うーーーーーん」
タルト「あーぁ、完全に気を失っちゃってる」
ＳＥ：ズズーーーン！！（ゴッドクラバー着地音）
タルト「げげっ、メガモンスだ！ どうするぅ、マリオン？」
マリオン「いったん、キャプテンをスターブリーム号に運びましょう。反撃はそれからよ」
ＳＥ：ギエエエエエエン（ゴッドクラバーの鳴き声）
群衆Ａ「あっ！ あれはなんだ？」
群衆Ｂ「きゃああああ、ロボット怪獣だわ！」
群衆Ｃ「うわああぁ、大変だあっ！」
ＳＥ：ズシン、ズシン（ゴッドクラバー足音）
○ゴッドクラバー・コクピット
ＳＥ：ピッピッピッ…（次第に小さく）
デボン「ありぃ？ サイコセンサーの反応が消えたッス。故障かな？」
Ｎ「はるかが失神したのが、幸いしたのだった」
シルル「構わないわ。どうせこの辺に隠れてるに決まってんだから」
ＳＥ：キイイイイイイイイン！（ジェット機音）
シルル「あれ、何の音かしら？」
ＳＥ：ミサイル発射音
ＳＥ：衝撃音
シルル「なによなによ、今のは！」
デボン「はぁ、どうも地球の軍隊が攻撃してきたみたいッスね。原始的なジェット機ッス」
シルル「まっ生意気ねー！ デボン参謀、片付けちゃいなさい」
デボン「んじゃま、遠慮無く。オーロラ光線、発射！」
○町
ＳＥ：光線音
ＳＥ：爆発音多数
群衆Ｃ「ああっ、戦闘機隊が全滅だぁ！ なんてこったぁ」
ＳＥ：キャタピラ音
群衆Ｂ「心配無いわ。見て、戦車隊よ！」
ＳＥ：戦車砲撃音
Ｎ「はたして、自衛隊の攻撃はゴッドクラバーに通用するのか？」
○スターブリーム号・コクピット
Ｎ「一方、この隙にマリオンＲとタルトＰは、はるかをスターブリーム号に無事連れ帰ったのだった」
はるか「あたたたたたた、しみるぅ！」
タルト「おねーさま、動かないで。薬が塗れないですぅ」
マリオン「それにしても、ミサイル２６発の直撃を食らって、カスリ傷程度で済むとは、さすがはピンキー星人ですね」
ＴＶ「臨時ニュースを申し上げます。突如出現したロボット怪獣は、自衛隊の攻撃をものともせず、東京の中心部に向かっております！ 現在、杉並区、中野区、豊島区の住民に対して、避難命令が出されております。該当地区の皆さんは警察の指示に従い、すみやかに避難して下さい」
ＴＶ「あ、ただ今、現場からの映像が入りました！」
○ＴＶ画面内
ＳＥ：ギエエエエエエン（ゴッドクラバーの鳴き声）
ＳＥ：爆発音
群衆Ａ「ううっ、戦車やジェット機じゃあのロボット怪獣に歯が立たない」
群衆Ｃ「日本はもうおしまいだぁ！！」
○スターブリーム号・コクピット
はるか「あらららー、なんか大変な事になってるわね」
マリオン「さ、キャプテン。その席に座って下さい。スターブリーム号発進します」
はるか「ちょ、ちょっと待ってよ！ どうする気？」
マリオン「もちろん、オルドビス軍を迎撃しなくては。このままあのメガモンスを放っておくわけにはいきません」
はるか「やだ」
マリオン「えっ？」
はるか「もう痛い思いすんのやだもん。私やらない！」
ＳＥ：ツーツーツー（通信機呼び出し音）
タルト「おねーさま！ 通信が入ったわ。あのメガモンスからよ」
シルルの声「偉大なるオルドビス大銀河帝国の女王、シルル・ド・オルドビスの名においてスターピンキーＱに通告する！」
タルト「…シ、シルル女王！」
シルルの声「どうしたの！ いつまでも隠れてる気？ 早く出てきて私と勝負するのよ！ それとも、このシルル様が怖いのかしら？ 宇宙の勇者スターピンキーＱも、ずいぶんと臆病になったもんね！」
タルト「ああっ、あんな事言ってますよ。おねーさま、腹が立たないんですかぁ」
はるか「別にぃ。今の私はスターピンキーＱじゃなくて星野はるかだもん。オルドビス軍なんて、関係無いわ」
シルルの声「こらーーっ、早く出てこーーい！」
デボンの声「陛下陛下、ちょっと…」
シルルの声「なによ？」
デボンの声「前方になんか高い塔が見えるッスよ」
Ｎ「それは日本のシンボル、東京タワーであった！」
シルルの声「ふぅん、なんか大事そうな建物ね。ちょうどいいわ。スターピンキーＱ！ 出てこないならこの星をゴッドクラバーでメチャメチャにしちゃうわよ。手始めに、この赤いタワーをへし折ってやるわ！」
タルト「おねーさまぁ、戦いましょう！」
はるか「し〜〜らない！」
マリオン「キャプテン、東京タワーが破壊されたら、困るんじゃないですか？」
はるか「え、なんで？」
マリオン「東京タワーはＴＶの放送塔です。破壊されると、キャプテンの好きな『鬼平犯科帳』の再放送が観れなくなりますよ」
はるか「…うっ、それはちょっと困るなぁ。う〜〜〜〜む…」
はるか「しゃあない、やるか！ でも今回だけだからね」
はるか「マリオン、スターブリーム号発進よ！」
マリオン「はい、キャプテン」
タルト「さっすがマリオンね」
マリオン「ふふっ」
タルト「でも、ちょっと情けな〜い」
○市街地
ＳＥ：ギリギリギリ（鉄塔がねじ曲げる音）
群衆Ａ「ああっ、東京タワーが壊されるぅ！」
群衆Ｃ「なんてこったぁ！」
群衆Ｂ「あっ、あれは何？」
ＳＥ：スターブリーム号飛行音
ＳＥ：ギエエエエエエン（ゴッドクラバーの鳴き声）
デボン「陛下、スターブリーム号ッス！」
シルル「やっと現れたか！ よーし来い、スターピンキーＱ！」
Ｎ「さぁ、戦いだぁ！」
マリオン「プロトン砲！ 発射！」
ＳＥ：プロトン砲発射音
シルル「ゴッドバリアー！」
ＳＥ：ピキーーーン！（バリア音）
ＳＥ：ビュン！ ビュン！（砲撃がはじき返される音）
マリオン「駄目か…」
シルル「今度はこっちの番よ！ ミサイル発射！」
ＳＥ：ミサイル発射音
ＳＥ：スターブリーム号・急旋回音
ＳＥ：ミサイル炸裂音
タルト「そんなの、あたんないよーだ」
○スターブリーム号・コクピット
ＳＥ：心臓音
はるか「（モノローグ）どうしたんだろう？ 怖いはずなのに、私、なんだかワクワクしてる。なんだろう、この高揚感。どんどん勇気が涌いてくる！」
はるか「よしっ！」
はるか「マリオン、ハッチを開けて！ 私が直接叩いてやるわ」
マリオン「はい、キャプテン」
タルト「おねーさま！ やっとやる気になったんですね」
ＳＥ：ハッチ開く音
はるか「ピンキーボード！」
マリオン「待って下さいキャプテン。強化服をお忘れです！」
はるか「あんなの、着れるわけないでしょ！ ＧＯ！」
○市街地
ＳＥ：ピンキーボード飛行音
群衆Ａ「なんだ？ 何かロケットから飛び出したぞ！」
群衆Ｂ「まぁ、女の子よ！」
はるか「よぉし！ やってやるわ！」
ＳＥ：ギエエエエエエン（ゴッドクラバーの鳴き声）
Ｎ「ゴッドクラバーはその巨大な腕をはるかめがけて振り降ろした！」
ＳＥ：ギュイーーーン（腕を振り降ろす音）
はるか「遅い！ ピンキー・スライサー！」
（ゴッドクラバーの右腕、切断されて落下する）
ＳＥ：シャキーン！（金属が切断される音）
ＳＥ：どどーーん！（重量物の落下音）
シルル「うっ！」
Ｎ「特殊合金で出来たピンキーバトンは、伸縮自在の上、厚さ３０センチの鉄板を突き破る程のパワーがあるのだ！」
群衆Ａ「すごい！ あの女の子、一人でロボット怪獣と戦ってるぞ」
群衆Ｂ「きゃー、かっこいいー！」
群衆Ｃ「い、いったい何者だぁ？」
タルトの声「…あー、あああ。外部スピーカー、ＯＫ！」
タルトの声「みっなさーーん！ あれこそは宇宙の勇者・スターピンキーＱなのでーす！」
群衆Ｃ「スターピンキーＱだってぇ？」
タルトの声「そうでーす！ 宇宙の平和を守る自由の戦士、正義の味方、そして魅惑のアイドルなのでーす！」
群衆Ａ「おおっ、なんか知らんがすごそうだ！」
タルトの声「さぁみんなでスターピンキーＱを応援しよー！」
群衆「おおおおーーーーっ！」
群衆Ａ「いいぞー！ スターピンキーＱ！」
群衆Ｂ「ロボット怪獣なんかやっつけちゃえーー！」
はるか「えっ？ みんなが私を応援してくれてる…」
はるか「あはっ！ 悪い気分じゃ無いわね。声援ありがとー！」
シルル「ふん、いい気になってられるのもここまでよ！ 強化バブル液発射ーーっ！」
ＳＥ：スプレー音
はるか「きゃああっ！」
Ｎ「白い泡状の液体が、油断していたはるかに命中した！」
シルル「骨まで溶かすスーパー溶解液よ！ 思いしったか！！」
群衆Ｃ「うわっ、やられたぁ！」
タルトの声「大丈夫です、みなさん！ 無敵のピンキー星人があれくらいでやられたりするもんですか！」
ＳＥ：泡の音
Ｎ「その通りである。…だが、地球製の服はピンキー星人の肉体ほど強靭ではない」
群衆Ｂ「きゃっ！」
群衆Ａ「おおっ！ 服だけ溶けてるぞ！」
はるか「ひいいいいいいいっ！」
Ｎ「一瞬にして、星野はるかは公衆の面前で大変恥ずかしい姿になってしまった」
マリオンの声「だから強化服を着た方がいいって言ったのに…」
タルトの声「ねぇ」
はるか「くうううううううっ…。ゆ、許さんっ！」
ＳＥ：シュイイイイイイン（エネルギー蓄積音）
群衆Ａ「なんだ？ スターピンキーＱの体が光り始めたぞ！」
Ｎ「説明しよう。ピンキー星人は、激しい怒りによって興奮状態に達した時、大脳からミラクル物質ピンキナドリンが全身に放出され、無限のパワーを発揮する事ができるのだ！ ＧＯ！ スターピンキーＱ！」
シルル「…な、なに？」
はるか「Ｑフラッシャー！！」
ＳＥ：ビシューーーン！（Ｑフラッシャー発射音）
Ｎ「見よ！ これがスターピンキーＱの必殺技・Ｑフラッシャーだ！」
シルル「き、緊急脱出カプセル、発進！」
ＳＥ：大爆発音
シルル「…あ、あれがＱフラッシャーか。なんて威力なの…」
デボン「スターピンキーＱを甘く見すぎましたねー」
シルル「ううっ、く、くやしいーーーっ！！」
ＳＥ：ひゅるるるるるる（脱出カプセル飛行音）
群衆Ｂ「やったわ、ロボット怪獣が吹き飛んじゃった！」
群衆Ａ「すごいぞ、ズターピンキーＱ！」
ＳＥ：群衆の歓声
Ｎ「こうして、スターピンキーＱは必殺Ｑフラッシャーで、見事オルドビス軍団のメガモンスを撃破した。だがこれくらいであきらめるようなシルル女王ではない。がんばれ星野はるか！ 戦えスターピンキーＱ！」
はるか「イヤよもう、こんなの！」