○タイトル
はるか「スターピンキーQ、CDスペシャルドラマ・マイカの秘宝、後編」
○はるかの部屋
マリオン「キャプテン、キャプテン…」
タルト「おねーさまぁ、起きて」
はるか「(眠そうに)…う、何よぉこんな朝早くから」
マリオン「キャプテン、記録ディスクの修復が完了しました」
はるか「え〜〜? 記録ディスクって?」
はるか「(ガバッと起き上がり)ああっ、そうかこの前の!」
○スターブリーム号・船長室
はるか「さすがはマリオンRね。じゃ、さっそく聞いてみましょう」
タルト「わくわくわく…」
SE:プレイヤー駆動音
ディスクの声(Q)「……航星日誌、宇宙歴25607・315。私はジカール星から盗み出された神秘の宝石『マイカ・ストーン』を取り戻す為、オルドビス軍の円盤を追っていた」
以下、ディスクの内容に入る。
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○スターブリーム号コクピット
Q「なんとしてもシルル艦を見つけなくては…。どう、マリオン?」
マリオン「はい、キャプテン。コスモレーダー、最大モードで探知開始!」
SE:ピピーーッ!(レーダー反応音)
マリオン「いました! このコースから判断して、どうやら第5惑星『タネット』に向かっているようです」
Q「よーし、追うわよ。スターブリーム号最大加速!」
SE:スターブリーム号飛行音
Q(モノローグ)「航星日誌、補足。この時点では知る由も無かったが、先行するシルル艦内部では、次のような会話が交わされていた」
○シルル旗艦・ブリッジ
シルル「おおお、これがマイカ・ストーンか。なんと美しい。…だが!」
シルル「美しいだけじゃダメなのよ。本当にこれで宇宙最強のパワーが手に入るんでしょうね?」
デボン「はい、そりゃもーーバッチシっす。なんせ、私ゃ大学の頃から、長年古代マイカ文明について研究してきたッスから」
デボン「おお、かつて栄華を極め、銀河系最高の科学文明を誇った伝説のマイカ文明! その叡知を今に伝えし、神秘の石マイカ・ストーン! その力がもうすぐ我がオルドビス帝国の物に!」
SE:警告音
帝国兵「陛下、大変です! 本艦はスターブリーム号に追跡されています」
シルル「ぬううっ、しつこいわね。よし、迎撃機を出せ! 本艦はかまわずタネットに直行!」
帝国兵「はっ!」
シルル「スターピンキーQ! 残念だけど今日はあなたと遊んでいる暇は無いの。先にマイカ・ストーンを手に入れなくては…」
○宇宙
シルル旗艦から次々と発進していくメガモンス・ログネック
SE:ログネック飛行音・多数
○スターブリーム号・コクピット
SE:ピピーーッ!(レーダー反応音)
マリオン「敵艦より迎撃機多数発進。機種は宇宙用メガモンス『ログネック』、総数50!」
タルト「うひゃあ、こりゃまた大盤振舞ね」
Q「よっぽどマイカ・ストーンが大切なのね。ふーーーむ…」
マリオン「敵・第一波、来ます!」
Q「タルト、プロトン砲発射!」
タルト「はい、おねーさま! よーし、今度ははずすもんか!」
SE:プロトン砲発射音
SE:爆発音多数
マリオン「敵8機を撃墜!」
Q「やるじゃないの、タルト」
タルト「えへっ、ありがとうございまーす」
Q「よーし、その調子。手動操縦に切り替え、ドッグ・ファイトに入る!」
SE:スターブリーム号急旋回音
マリオン「キャプテン、あまり急激な旋回は機体に負担が…」
Q「このくらいやんなきゃ、勝てないわよ。タルト、お願いね!」
タルト「撃ちまーす!」
SE:プロトン砲発射音
SE:爆発音多数
マリオン「シルル艦はタネットに降下していきます」
Q「よーし、雑魚どもを一気に振り切るわよ。シールド・オン、大気圏突入!」
マリオン「この角度では危険です!」
Q「でもこれならログネックは追ってこれないわ」
マリオン「そんな乱暴な…」
Q「私の腕を信じなさい!」
SE:降下音
○タネット星・地表
SE:スターブリーム号着陸音
SE:ハッチ開閉音
外に出る三人。
タルト「ふうう、もうダメかと思った」
マリオン「…キャプテン、かなり船の外壁が焦げてます」
Q「そんな事より、連中は?」
マリオン「はい。シルル艦は前方に見える、大ピラミッドの向こう側に着陸しました」
Q「ふーむ。あの中に何かあるのかしら?」
SE:カスタネットを叩く音(しだいに大きく)
Q「はっ」
SE:ガサガサガサ…(木々をかき分ける音)
タルト「なによなによ、こいつらは?」
マリオン「この星の原住民ですね」
タルト「うわ、槍なんか構えちゃって。どうしようおねーさま」
SE:カスタネットを叩く音・多数
Q「この人たちとは戦いたくないわね。私達の敵はオルドビス軍なんだから…」
Q「マリオン、タネット人と話す事はできる?」
マリオン「はい、もちろんですキャプテン。これで…」
Q「えっ、カスタネットなんか持ってどうするの?」
マリオン「ここの住人は、カスタネットの音ですべてのコミュニケーションを取っています。ま、一種のリズム信号ですね」
Q「うーーーっ、メンドくさぁ」
マリオン「(カスタネットを叩きながら)わ・た・し・た・ち・は・た・た・か・い・に・き・た・の・で・は・な・い」
マリオン「ぶ・き・を・ひ・い・て・ほ・し・い」
SE:カスタネット音(返信)
Q「(イライラして)うぎぎぎぎぎぎぎ」
タルト「こりゃ時間かかるわ」
SE:円盤上昇音
タルト「おねーさま、シルル艦が逃げます!」
Q「よし、追うのよ!」
SE:カスタネット音(ひときわ大きく)
マリオン「キャプテン、動かないで!」
Q「え?」
マリオン「タネット人を刺激しないで下さい! やっと今、我々が敵でないことを説明したところなんですから」
マリオン「ま・い・か・す・と・ー・ん・に・つ・い・て・な・に・か・し・ら・な・い・か」
Q「うーーーーっ」
Q(モノローグ)「航星日誌、補足。結局、マリオンとタネット人の話し合いは一時間に及び、シルル艦を逃がしてしまった」
マリオン「キャプテン、喜んで下さい、タネット人の長老から、マイカ・ストーンについての情報を得る事が出来ました」
Q「あっそう」
マリオン「なんと! 二つ目のマイカ・ストーンがあのピラミッドの中にあるそうです。シルル女王の狙いはおそらく…」
Q「…おそらく、もう持ってかれちゃったよね、マリオン?」
マリオン「は、はい。そうですが…」
マリオン「ご安心下さい、シルル女王の行き先はわかっています。第3惑星ザイマンです」
Q「ん? どうして」
マリオン「はい、マイカ・ストーンは滅亡した古代マイカ文明の遺産。古代マイカ人はその力を悪用されないよう、このアルコナス太陽系の三つの惑星に分散して隠したそうです。一つはジカール、一つはタネット、最後の一つはザイマン。そしてマイカ・ストーンは三つ揃わなければ真の力を発揮しないのです」
Q「なるほど、シルルの目的はそれだったのね。よーし、ザイマン星にレッツ・ゴー!」
二人「はいっ!」
SE:スターブリーム号発進音
○宇宙
SE:スターブリーム号飛行音
Q(モノローグ)「航星日誌、宇宙歴25607・316。我々は次の目的地、第三惑星『ザイマン』へと急行した」
○ザイマン星
マリオン「見て下さい! あそこにシルル艦が着陸しています。おそらくマイカ・ストーンは首都シモトのどこかにあるのでしょう」
Q「よし、こっちも降りるわよ」
SE:スターブリーム号着陸音
Q「この星のマイカ・ストーンはどこにあるのかしら?」
マリオン「とりあえず、ここの住民に聞いてみましょう」
タルト「はーい、そこのおじさん! ちょっと聞きたい事があるんだけどぉ」
ザイマン星人A「んーー、なんじゃいな」
タルト「マイカ・ストーンのありかはどこ?」
ザイマン星人A「ありか? ああ、ありかちゃうたら、ミカンで有名な和歌山の…」
タルト「そらぁ有田や!」
Q「…こ、今度はなんなのよっ!」
マリオン「はい、ザイマン星人はすべての会話が漫才となっているのです」
マリオン「ですから、ここでは相手がボケたら、素早くツッコミを入れないとコミュニケーションが成立しないのです」
タルト「有名ですよぉ。知らなかったんですか?」
Q「知るかっ!」
マリオン「キャプテン。ほら、あれを!」
マリオン、道の反対側を指さす。
シルル女王「とっとと教えないと、タダじゃおかないわよ!」
ザイマン星人B「あー、タダちゅうたら、ウルトラマンに出てくる気色悪い顔した…」
デボン「そらダダでっしゃろ」
シルル「きーーーーーっ! ああイライラする」
デボン「ま、気長にいきまショ」
マリオン「オルドビス側もまだマイカ・ストーンの場所を聞き出せないようです。チャンスです! タルト、がんばってね」
タルト「まかせて! だからぁ、私の聞きたいのは有田じゃなくてありか」
ザイマン星人A「ああ、わかった。奈良にある石舞台古墳とか酒船石の…」
タルト「そら飛鳥やがな」
Q「うーーーーーーっ。…しかしローカルなネタばっかりね」
Q(モノローグ)「航星日誌、補足。そして、タルトPとザイマン星人の低レベルな漫才は三時間にも及んだ」
タルト「もうあんたとはやっとられへんわー」
ザイマン星人A「ほな、さいならーー」
タルト「ちゃんちゃん! …っと」
Q「終わってどーする!」
タルト「……あ」
デボン「女王陛下、やっとわかったッス! マイカ・ストーンは博物館だそうッス!」
シルル「よし、急げっ!」
シルルとデボン、駆け出す。
マリオン「キャプテン! シルル女王が!」
Q「後を追うのよ」
三人、後を追って駆け出す。
○博物館
シルル「ココね! 『ザイマン国立科学博物館』…」
デボン「陛下、ピンキーチームが追ってくるッス!」
シルル「うーーん、しつこいわね。あっ、ちょうどいい物が展示してあるじゃない! ふふふ、コレを使ってQの奴を…」
デボン「こんな古ロケットをどうするつもりッスか?」
シルル「いいから! さ、デボン参謀。こっちよ」
二人、階段を掛け上がる。
Q「逃がすか!」
Qたちも階段を掛け上がる。
Q「隠れてもムダよ、シルル女王!」
SE:自動ドアの開閉音
Q「うっ?」
シルルの声「かかったわね! スターピンキーQ」
Q「しまった!」
Q、あわててドンドンとドアを叩く
シルルの声「これはザイマン星の災害時緊急脱出ロケットよ。じゃ、行ってらっしゃーーい」
SE:ロケット発射音
シルルの声「またねーー」
○ロケット内部
SE:ロケット飛行音
Q「マリオン、ザイマン星に戻して!」
マリオン「無理です。これはとても旧式のロケットで、コースの変更はできません。ジカール星に進路が固定されています」
タルト「まんまとシルル女王にしてやられたって事かぁ…」
Q「うぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」
○博物館
SE:パリーン!(ガラスケースの割れる音)
シルル「やったわ! これが三つめのマイカ・ストーンね」
デボン「おめでとーございまッス」
シルル「…ふふ、どんなに急いでも、Qの奴がここに戻ってくるのにはニ日はかかる。そしてその時には、マイカの力によって呼び出された宇宙最強の戦士がスターピンキーQを迎え撃つ! そうよね?」
デボン「はい、ここに展示されている古文書にもちゃんとあるッス」
デボン「…三つのマイカ・ストーンを集めたる者、最強の戦士を召還する事叶いし。そ の戦士は、容姿端麗、性格粗暴、出前迅速にして獣王無敵。すなわち、全宇宙を支配できるほどの力の持ち主なり…」
シルル「素晴らしい、素晴らしいわ! これでもうスターピンキーQに悩まされる事も無くなるのね。デボン参謀、さっそく召還よ」
デボン「へーーい。では、マイカ・ストーンをここに置いて…」
デボン「はーーーっ! アウレベデーチョーザン、エウギャナーリ、ウナズラプハーモ!」
シルル「…なにそれ?」
デボン「なにって、戦士召還の呪文ッスよ」
シルル「あ、そうなの。続けて続けて」
デボン「へい。アースクェーク、トランスカバーナ、シャームキン、スームフラ、ビュールハートスマトイック、ビーモサイズ、トレザータ…」
SE:マイカ・ストーン発光音
シルル「おっ、おおおおお!」
デボン「エグリアナリバードク、ネテウルケトー、ヨーナメツラモーウン、マウトウパー、サナヒラズスカイラーゲン!」
SE:マイカ・ストーン発光音(しだいに大きく)
シルル「おおおおおおおおおおおおおお!」
SE:ピカッ!
SE:召還・実体化音
シルル「…これが、これが宇宙最強の戦士! 宇宙を支配するに足るパワー!」
(少し間)
シルル「えっ?」
Q「…あ、あれぇ。ここはどこ?」
シルル「な、なんで? なんでスターピンキーQが出てくるのよっ!」
デボン「はぁ、どうしたんでげしょ…」
デボン「ははぁ、わかったッス。これはつまり」
シルル「つまり?」
デボン「現時点ではスターピンキーQが、宇宙最強の戦士っつう事ッスね」
シルル「な、なんとっ!」
シルル「…ま、まぁそれならそれでいいわ。こうなったらスターピンキーQを銀河系征服の手先としてこき使ってやる!」
シルル「さぁ、スターピンキーQよ。お前を呼びだしたのはこの私、大銀河帝国皇帝、シルル・ド・オルドビス様よっ! 今後はお前の新しい主人である、このシルル様の命令を…」
SE:バコッ!
Q、バトンでシルルの頭をはたく。
シルル「いたっ、いたたたたたた…」
Q「んなもん、聞くわけないでしょ!」
シルル「な、なんでなの〜」
デボン「そらそうッスよ陛下。マイカ・ストーンは最強の戦士を呼び出すだけッス」
シルル「呼び出すだけぇ?」
デボン「古文書にも、出てきた戦士に言う事聞かせる方法までは載ってないッスね」
シルル「載ってないッス、って…。あんた、それじゃなんにもなんないじゃない!」
Q「えーい、何をゴチャゴチャと。さぁ覚悟しなさい、シルル女王!」
Q「ピンキー・クラッシュ!」
シルル「ひえええええええええええええ!」
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SE:ピッ!(プレイヤーのスイッチを切る音)
はるか「しょーーもな!」
タルト「そうそう、こんな事もありましたねー」
はるか「こりゃコースターにするワケだわ」
タルト「でも、おねーさまの強さは、伝説の石によっても証明されたわけですよね?」
はるか「なんか、いまいち嬉しくないなー」
はるか「あーーあ。唯一残ってたディスクがこんなのだなんて、トホホだわ」
マリオン「まぁ焦らなくても、本当に必要な時が来れば、記憶は戻りますよ」
はるか「…だといいけど」
SE:警報音
はるか「あららら。なーに?」
マリオン「キャプテン! オルドビス軍の襲撃です。新宿にメガモンス三体が降下!」
はるか「げっ、またぁ?」
マリオン「現在、地球の軍隊と交戦中です」
はるか「しゃーない、やりますか。よーし、スターブリーム号、発進!」
タルト「はい、おねーさま!」
はるか「GO!」
SE:スターブリーム号発進音
<END>