第4話「マリオンR絶対絶命!」


○東京湾
N「今回のスターピンキーQは、千葉県は幕張新都心から話をはじめよう!」
   SE:ザザーーッ!(波の音)
群衆A「おおっ、あれはなんだ!」
群衆B「きゃああ、またロボット怪獣よ!」
N「海中から出現したのは、オルドビス軍の水中戦用メガモンス、ダコバーンだ!」
   SE:ピキイイイイッ(ダコバーンの声)
   SE:ドガーーン!(破壊音)
群衆C「ああっ、幕張メッセが壊されるぅ!」
群衆B「このままじゃマリンスタジアムも危ないわ!」
群衆A「早く来てくれ! スターピンキーQ!」
   SE:スペースバイク飛行音
群衆A「来た! あれは…」
群衆B「いや、Qじゃないわ。新戦士、スターピンキーFよ!」
群衆A「頼むぞーーっ! スターピンキーF!」
F「愛と平和の戦士、スターピンキーF、参上!」
   SE:ピキイイイイッ(ダコバーンの声)
F「銀河の平和を脅かす侵略者め! 受けてみろ、フレンドリィ・パルサー!」
   SE:光線音

○オープニング
   主題歌流れる。

○サブタイトル
はるか「第4話・マリオンR絶体絶命!」

○はるかの家
マリオン「キャプテン、キャプテン! 起きて下さい」
はるか「う〜〜ん、日曜日くらいゆっくり寝かせてよう」
タルト「おねーさま、寝てる場合じゃないですよ。オルドビス軍のメガモンスが出たんです」
はるか「またぁ?」
タルト「ほらほらぁ、TVでも中継してますよ」
   SE:リモコン操作音
TV「臨時ニュースを申し上げます。海中より出現したロボット怪獣一体が幕張に上陸! 幕張メッセが完全に破壊されましたが、正義の味方、スターピンキーFの活躍により、現在まで死者・負傷者は出ておりません。引き続きこの時間の番組を変更し、幕張からの中継を…」
はるか「なぁんだ、もうフレンドリィちゃんが行ってるんじゃない」
マリオン「キャプテン、急いで下さい。スターブリーム号の発進準備は既に完了しております」
はるか「え〜、別に私が出てく必要無いんじゃない?」
タルト「おねーさま!」
はるか「だって、ほら…」
TV「ご覧下さい! スターピンキーFの2発目のフレンドリィ・パルサーを受け、ロボット怪獣はだいぶダメージを受けているようです」
はるか「ね? フレンドリィに任せておけば大丈夫よ」
   SE:ピキイイイイッ(ダコバーンの声)
   SE:ズルッ、ズルッ(ダコバーン移動音)
TV「あっ、たまらずロボット怪獣が逃げだしました!」
   SE:バシャーン!(水音)
TV「怪獣は海中に姿を消しました! スターピンキーFの勝利です!」
   SE:群衆の歓声
群衆B「ありがとう、スターピンキーF!」
TV「この歓声をお聞き下さい! 人々が新たな救世主・スターピンキーFを口々に誉めたたえております」
はるか「はーーい、めでたしめでたし。んじゃ、私はもう一回寝るわね」
はるか「いやー、なんせ朝4時までカラオケボックスで唄ってたもんたから、もー眠くて眠くて…。むにゃむにゃ…」
マリオン「(呆れて)…キャプテン」

○オルドビス軍月面基地
N「一方、こちらは月面にあるオルドビス軍前線基地」
帝国兵C「女王陛下、メガモンス・ダゴバーンの回収に成功しました。直ちに点検・修理に入ります。大したダメージではありませんので、3チクタク以内には再出動可能となります」
シルル「頼むわね。それにしても、本当にスターピンキーFにはイライラさせられるわ。Q一人でも大変だってのに…。ねえデボン参謀?」
デボン「え? はい、陛下、そうッスね。」
デボン「(小さな声で)…おかしいな。こんなハズでは」
シルル「なに一人でボソボソ言ってんのよ?」
デボン「あ、なんでもないッス。気にせんで下さい。んじゃ、私はちょっと用がありますんで…」

○同・デボン私室
   SE:電話のピポパ音
デボン「あー、こちらデボン参謀。今日の戦闘についてなんスけど」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「そうそう、肝心のスターピンキーQが出てきてくれない事にゃ、計画の進めようがないッスかんねぇ〜」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「できればちょっとその辺、探ってみてもらえるとありがたいッス」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「あ、やってくれる? いやー。助かるッス。ほいじゃまた!」

○はるかの住む町
N「そして、翌日の朝…」
   SE:バイクの音
N「学校に向かうはるかの前に、バイクに乗った少女が現れた」
少女「星野はるかさん」
はるか「えっ? あなた誰?」
少女「ほら、私よ私」
N「そう言って少女は、ヘルメットを脱いで素顔を見せた」
はるか「あーーっ、フレンドリィちゃん!」
F「どう? これなら地球人に見えるでしょ?」
はるか「うん、完璧完璧。全然わかんなかったもん」
F「それよりQ先輩、昨日はどうして助けに来てくれなかったの?」
はるか「いやー、まぁ、フレンドリィちゃん強いから。その必要無さそうだったし…」
F「え?」
はるか「だって簡単にメガモンス追い返しちゃったじゃない」
F「…う、うん。それはそうだけど」
はるか「あのさぁ、私、一応『正義の味方』を引退した身なのよね。だからさー、今後の戦いはなるべくフレンドリィちゃんが中心になってやってくんない? あ、サポートがいるんだったら、ウチのマリオンやタルト貸してもいいからさぁ」
F「(困惑して)いや、その…」
はるか「ま、どうしてもって時には私も出るし。あ、琴菜が来た」
琴菜「はるかちゃ〜ん!」
はるか「じゃ、そーゆー事で! よろしく頼むねー」
F「あ、ちょっと…」

○オルドビス軍月面基地
N「再び、月面のオルドビス軍前線基地。謎の相手からの報告を受けるデボン参謀」
デボン「ええっ、スターピンキーQはまるでやる気無しぃ? うーーーん、そりゃ予想外の展開ッスねー」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「どうやら、計画の練り直しが必要の様でゲスね。もう一度、打ち合わせするッスか。よし、今から円盤でそっちに降りるッス」
   SE:相手の声(セミの声を加工)
デボン「んじゃ、1チクタク後にポイントX3026で」
   SE:ピッ(電話切る音)
シルル「デボン参謀〜ぉ」
デボン「わっ、女王陛下! いつからそこに」
デボン「…い、いくら陛下でもノックも無しに人の部屋に入るってのは、マナー違反ッスよん」
シルル「シャーラップ! 何をこそこそ電話してたのよ、相手は誰?」
デボン「うーーーーーん、仕方無いッスね。そろそろ陛下にも今回の計画をお話しするでゲス。とりあえず、一緒に来てもらえるッスか?」

○スターブリーム号コクピット
N「マリオンRは、その優れた情報収集能力により、今の交信をキャッチしていた!」
   SE:ピコーン、ピコーン
タルト「マリオンRぅ、どうしたの?」
マリオン「この町内から不審な電波が発射されているの。それも宇宙に向かって。…あ、切れたわ」
タルト「怪しい〜、オルドビス軍のスパイじゃない?」
マリオン「その可能性は高いわね。よし!」
   SE:カシャーン、カシャーン!(ユニット装着音)
マリオン「オプションユニット・ナンバー03、装着完了!」
タルト「あ、そのオプションは初めて見るわね。その丸いお皿みたいなのは何?」
マリオン「高性能のコスモレーダーよ。じゃ、後はよろしく」
   SE:マリオン発進音
タルト「行ってらっしゃーーい!」

○空
   SE:マリオン飛行音
マリオン「電波の発進地点は確かこのあたり…」
   SE:バイク走行音
マリオン「あの下を走っているオートバイ…、エネルギー反応が226もある。ただのバイクじゃないわね」
F「トランスフォーム!」
   SE:バイク変形音
N「一瞬にしてバイクは飛行形態に変形し、そのまま大空へと飛び立った」
   SE:スペースバイク飛行音
マリオン「あれはスターピンキーF! いったいどこへ…」

○学校
   SE:キーンコーンカーンコーン(チャイム音)
N「その頃、星野はるかは…」
はるか「やっと昼休みかぁ。ねぇねぇ琴菜、今日は天気もいいし、久しぶりに外でお弁当食べない?」
琴菜「賛成! 池のトコのベンチがいいわね」
   SE:ガサガサ…(紙袋の音)
はるか「ピーナツバターのサンドイッチ、あたしこれ大好物なんだ」
   SE:とんとん(肩を叩く音)
はるか「ん、何?」
琴菜「はるかちゃん、なんか視線を感じない?」
はるか「え?」
N「振り向くと、校舎の影からじっとはるか達を見つめている一人の男子生徒がいた」
はるか「なんだろうあいつ、こっち見て」
琴菜「あの子、図書部員の堀部雅人君だわ。前にちょっと話した事あるの」
はるか「どれどれ…。はー、結構ハンサムじゃん。わかった! 琴菜に気があるんじゃない? あの熱い眼差しはきっとそうよ」
琴菜「やだ、はるかちゃんたら。その事無いわよ」
   SE:タタタ…(男子生徒足音)
はるか「…あ、行っちゃった。何だったんだろう」

○空
   SE:スペースバイク飛行音
N「マリオンRは、スターピンキーFを追跡していた」
   SE:マリオン飛行音
マリオン「はっ、あれは!」
   SE:円盤浮遊音
マリオン「オルドビス軍!」
   SE:円盤ハッチ開閉音
F「着艦よし!」
N「なんと、スターピンキーFのスペースバイクは、オルドビス軍の円盤の中に消えて行った」
マリオン「そんな、どういう事?」

○円盤内部
N「そして、円盤内部では!」
シルル「げげげげげげっ! お、お前はーーっ!」
F「初めまして、シルル・ド・オルドビス女王陛下。お目にかかれて光栄ですわ」
デボン「ご紹介するッス。正義の味方、スターピンキー・フレンドリィさんッス」
シルル「…デ、デボン参謀。どういう事なのか説明して!」
デボン「はい、陛下。もともとスターピンキーFはこの私、デボンの昔からの友人でしてね。スターピンキーQに仲間として近づき、奴が完全に油断したトコを後ろからバッサリ!」
F「…と、いう計画だったのですが」
シルル「うまく行ってないのね?」
F「はい、実は…」
N「デボンとフレンドリィは、QがスターピンキーFの登場により、全くやる気を無くしてしまった事を説明した」
シルル「ふうん、思ったよりいい加減な奴だったんだなぁ。でもここまで手間暇掛けた作戦を、ここで終わらすのはもったいないわね。発想自体はベリーグーなんだから」
デボン「でしょ?」
シルル「要はスターピンキーQをおびき出すエサがあればいいのよ。さてさて…」
帝国兵C「女王陛下! レーダーに反応!」
シルル「なにっ?」
帝国兵C「スクリーンに映像を出します!」
   SE:ビューーン!(映写音)
F「マリオンR! …しまった、つけられたか」
シルル「ちょうどいいじゃない? エサが向こうから現れてくれたわ」

○学校
N「さて、そんな空中での出来事を知る由も無い星野はるかは…」
はるか「あれ、靴箱になんか入ってる」
琴菜「それ、手紙じゃない?」
   SE:ガサガサ(封筒を開く音)
はるか「えーと、なになに。星野はるか様。昼休みに言おうと思ったのですが、どうしても勇気が出ず、こうして手紙に書く事にしました。告白します。僕は以前からあなたの事を…」
はるか「ちょっと! なにこれ?」
琴菜「わぁ、ラブレターじゃない! そうか、やっぱしさっきの熱い視線は、はるかにだったのね。そうじゃないかと思ったんだ。だって、堀部君たら、前に図書室で話した時も、やたらはるかの事ばっかり聞いてたもの」
はるか「明日の土曜日、3時に北野公園でお待ちしています。もしOKならここに来て下さい…、だって!」
はるか「(困惑して)やだー、どうしよどうしよそうしよ!」
琴菜「いいじゃない、行くべきよ。そうね、堀部君とはるかちゃんなら、似合いのカップルになると思うわ」
はるか「そんな、いや、だって…」

○空中
N「上空では、スターピンキーFとマリオンRの戦いが始まっていた!」
マリオン「スターピンキー・フレンドリィ、どういう事なのですか? まさかあなたはオルドビス軍と…」
F「ふふふふ、知られたからには、このまま帰すわけにはいかないわね」
F「フレンドリィビーム!」
   SE:ビーム音
マリオン「急速回避!」
   SE:マリオン飛行音
マリオン「バストミサイル発射!」
   SE:ミサイル発射音
F「フレンドリィシールド!」
   SE:ミサイル爆発音
F「ふふっ、この程度なの?」
マリオン「駄目だわ、ダメージを与えられない…」

○町
N「マリオンRとスターピンキーFの激しい空中戦はなおも続く…。一方、星野はるかは思いがけないラブレターにすっかり舞い上がっていた」
はるか「(浮かれて)ふふんふーーん、ラブレターかぁ。そして公園での待ち合わせ! うーーん、恋の季節ね。…ああ、これこそ青春、私の待ち望んでいた世界よ」
はるか「宇宙人やロボット怪獣と戦うなんてもうゴメン! 私は普通の女の子として一度きりの青春をエンジョイするの! 悪いけど後は頼むわね、フレンドリィちゃーん」

○空
N「しかし、そのスターピンキー・フレンドリィは…」
F「フレンドリィ・パルサー!」
   SE:ピカッ
   SE:小爆発音多数
マリオン「くっ! 偵察用の03ユニットでは不利だわ。この場はいったん離脱して体勢を立て直さねば…」
マリオン「加速ブースター、点火!」
N「だが!」
シルル「逃がすか! サイコキネシス・ホールド!」
   SE:ピュイイイン(超能力音)
マリオン「どうしたのかしら、点火しない…。自動点検システム作動!」
シルル「無駄よ、マリオンR」
マリオン「…シ、シルル女王!」
シルル「点火プラグは私の念力でロックしてるもの」
マリオン「う…」
シルル「さぁ、スターピンキーF。早いトコやっちゃいなさい」
F「フレンドリィビーーーム!」
   SE:ビーム命中音
マリオン「きゃあああああああ!」
SE:爆発音
マリオン「腹部に2万ポイントの衝撃。機能レベル2に低下。自動修復装置作動! 安全の為、メイン回路オフにしま…」
   SE:ビューーン(マリオン・機能停止音)
シルル「嬉しーー! ここんトコ負け続きだったからなぁ。やっぱこーゆーのが私本来の姿よね。デボン参謀、回収して」
デボン「了解ッス!」
   SE:ぶいーーーん(円盤の回収アームの音)
シルル「これでエサは手に入った。さて…」
N「シルル女王は、マリオンRをどうするつもりなのか? オルドビス軍の手に落ちたマリオンRの運命やいかに?」

はるか「ふふっ、明日の3時が待ち遠しいなぁ」


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